有期契約労働者の雇用契約書の留意点!トラブル防止のために大切なポイント
有期契約労働者のための雇用契約書作成においては、後々のトラブルを防止するためにも、記載しておかなければならない事項がいくつかあります。労働者に対して、決められた労働条件を明示する役割もある雇用契約書について、作成の基本や注意点をご紹介します。
有期契約労働者への雇用契約書作成の基本
基本の記載事項
- 労働契約の期間
- 期間の定めがある労働契約を更新する際の基準
- 就業の場所と携わるべき業務
- 始業・終業時刻、休憩時間、休日など
- 賃金(退職手当等を除く)の決定、昇給など
- 退職について
- 退職手当の有無
- 賞与の有無
- 相談窓口
- 退職手当以外の臨時に支払われる賃金、最低賃金額など
- 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他
- 安全、衛生について
- 職業訓練
- 災害補償、業務外の傷病扶助
- 表彰、制裁
- 休職
1~9の事項は、書面の交付によって明示しなければならない事項です。10~16は定めがある場合のみ明示が必要です。
なお、2024年4月からは、以下の事項も記載しなければなりません。
- 就業場所・業務の変更の範囲
- 更新上限の有無と内容
- 無期転換申込機会
- 無期転換後の労働条件
無期転換申込機会とは、期間の定めがある労働契約から期間の定めがない労働契約への転換を申し込むことができる、というルールです。
留意すべきポイント
就業規則が作成されている場合、雇用契約書の内容は就業規則と同等またはそれよりも良い条件でなければなりません。就業規則よりも悪い条件の場合、その部分は無効となり、就業規則で定められた基準によることになります。
有期雇用契約の更新方法と注意点
有期雇用契約の期間が終了した後、契約を更新する際には、必要な労働条件を再度、明示しなければなりません。更新前と内容が変わらない場合も明示が必要なので、更新の都度、雇用契約書を作成することをおすすめします。労働契約法では、1回以上更新し、なおかつ1年を超えて雇い続けている有期契約労働者と契約を更新する場合には、原則3年を超えない範囲で契約期間をできるだけ長くすることが求められています。なお、契約の更新は、労働者との話し合いや、企業と労働者間の合意の上で進めることになります。このため、更新しない可能性も考えて、契約期間が終了する30日以上前から更新の手配を進めるようにしましょう。
というのも、契約を更新しない雇止めでは、雇止めの予告が必要になることがあるためです。雇止めの予告は、3回以上契約が更新されているか、1年を超えて雇い続けている場合で契約を更新しないときは、契約期間が終了する30日前までにその旨の通知をしなければならない、というものです