36協定に法内残業は含まれるか?
【結論】
法定内残業(始業時間から休憩時間を除いた実働8時間までの労働時間)の場合は、割増賃金の支払いは不要です。
つまり、所定労働時間が7時間30分の会社で、実働8時間までの30分間残業した場合、時間単価が1,000円の従業員であれば、30分の法定内残業は500円を支払えば足ります。8時間を超えると25%以上の割り増しの支払いが必要になります。
ちなみに、大企業は2019年4月から労働基準法(労基法)の改正によって、時間外労働には上限時間に規制が加わるうえに罰則付きになります。
中小企業は1年遅れて2020年4月から適用されます。36協定の様式も2種類に変わるので注意が必要です。
36協定の現況
労基法36条では、時間外・休日労働協定に関する協定届、いわゆる36(サブロク)協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることによって、法定労働時間(1日8時間または週40時間)を超えて、または法定休日(週1回の休日)に労働させることができます。
いわゆる法定内残業を含む協定は、一見すると延長時間を法定時間になおすと何時間になるか不明となり、不適法な協定といえると解されています(昭57・8・30基発569号)。
しかし、『一定期間についての延長時間として、法定労働時間を下回る事業場の所定労働時間を基準に定めた時間外労働時間の限度を協定し届け出る例、(中略)が少なからずみられるところである。これらの届出は本来適正な届出とは認められないが、労使慣行への影響等を配慮して、当分の間やむを得ないものとして取り扱うこと』(昭57・8・30基発569号、平元・2・15基発65号)として、現実の労使の慣行を考えて当面は協定をやむなく受理していくという方針です。