【介護業/100名】副業社員からの割増賃金請求に対応した事例

課題

本件の企業では、副業として勤務していた社員から「本業と副業を通算した労働時間が法定労働時間を超えている」との主張があり、割増賃金の支払いを求められました。副業先となる当社は、本業の労働時間を把握していなかったため、割増賃金の支払い義務について判断ができず、対応に苦慮していました。

社労士事務所からの提案内容

当法人では、2022年7月に改定された厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」に基づき、次のような具体的対応を提案しました。

後から契約した事業所が割増賃金を支払うべき旨が明記されている点を説明
2022年7月以降の労働時間管理に関しては、本業の就労時間を確認し、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える部分について、割増賃金を支払うよう助言
ダブルワーク該当者については、本業のタイムカード(原本)を毎月取得し、社印を押してもらうなど、証明性の高い方法で管理を行うよう指導
口頭確認では不十分であり、先方企業への確認を正式に行う必要があることを説明

解決後の結果

本業の就労時間を正式に把握できる体制を構築
タイムカードに社印をもらう運用を徹底し、情報の信憑性を確保
副業社員の労働時間を的確に把握することで、未払い賃金の発生をゼロに抑制
副業禁止の企業との重複就労も事前に判明できるようになり、リスク管理が強化

本件のポイント

未払い賃金の時効は3年であり、2割5分の割増賃金が積み重なれば大きな負担になるため、最初の段階で確認体制を整えることが重要
2022年7月改定のガイドラインを正しく理解し、社内ルールとして落とし込むことがリスク回避に直結
先方のタイムカードに社印を押してもらうことで不正を防止し、原本証明の信頼性を確保
今後、ダブルワーク者を受け入れる際の基準と対応フローが整い、社内運用がスムーズに

まとめ

副業・兼業社員への対応は今後ますます重要になります。特に、労働時間の通算管理と割増賃金の支払い対応は、企業がトラブルを未然に防ぐために避けて通れない課題です。本件のように、制度改正を正しく理解し、実務に落とし込むことで、大きなトラブルを回避しながら、より柔軟な雇用体制を構築することが可能になります。

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